
TOKYO
入江の村から、
世界最大の都市へ。
海と湿地が入り組んだ入江のほとりに、太田道灌が城を築いたのは1457年。やがて徳川家康がやって来て、江戸は100万人が暮らす大都市になり、明治になって「東京」と名前を変えました。 二度の焼け野原から立ち上がった首都には、地名の由来、足元に隠れた秘密、語り継がれる都市伝説が、いたるところに眠っています。観光ガイドには載らない東京の「なぜ」を、史実と伝承の境目を示しながらたどります。
FOUR KEYS
東京を読み解く、四つの鍵
この街の出来事は、ほとんどがこの四つのどれかにつながっています。
台地と低地と海
東京の西には武蔵野台地が広がり、東には川が運んだ土砂の低地が続きます。台地の上は武家屋敷の「山の手」、低地は町人の「下町」。そして東京は400年以上、海を埋め立てて広がってきました。
将軍の城下町
江戸城を中心に、大名屋敷、寺社、町人の町が渦巻き状に配置された江戸。今の東京の道路や地名、大学や公園の多くは、この城下町の骨格をそのまま受け継いでいます。
焼けては、よみがえる
明暦の大火、関東大震災、東京大空襲。東京は何度も焼け野原になり、そのたびに新しい街をつくってきました。災害のあとの復興が、いまの東京の姿を決めています。
島まで続く東京
東京都は23区だけではありません。西には山と渓谷の多摩、南には伊豆諸島と、1,000キロ離れた小笠原諸島。日本の最東端と最南端の島も、東京都に属しています。
WHY HERE?
なぜ、この入江だったのか
戦国時代の終わり、今の皇居の目の前は日比谷入江という海でした。入江の東には「江戸前島」と呼ばれる半島が突き出し、隅田川や利根川の河口には湿地が広がっていました。江戸とは「入江の入口」の意味だとする説もあります。
けれど、この土地には大きな強みがありました。背後に広い関東平野を控え、川を使えば内陸の物資が集まり、海に出れば全国とつながる。水運の十字路に目をつけた徳川家康は、山を崩して入江を埋め、水路を掘り、巨大な城下町をつくり上げていきます。
BUTTERFLY EFFECT
小さな出来事が、街の今をつくった
一つの出来事が思わぬところへ波及していく。東京には、そんな「バタフライエフェクト」がいくつもあります。
30 ROOMS
30の部屋から、東京へ
気になるところから読めます。上から順に読むと、入江の村が江戸となり、東京となって、焼け跡から世界有数の都市へ成長するまでが、一本の物語としてつながります。
入江の村・江戸
家康が来る前、江戸は「寒村」ではなかった?
読む →江戸城と皇居
日本最大の城に、天守がなかった理由。
読む →百万都市・江戸の暮らし
18世紀、世界有数の大都市は、火事と水と長屋の町。
読む →日本橋と五街道
日本中の道は、この橋から測られている。
読む →埋め立てと東京湾
丸の内も銀座も、昔は海だった。
読む →川・堀・暗渠
「春の小川」は、渋谷を流れていた。
読む →地名トリビア
銀座に銀はない。恵比寿はビールの名前。
読む →東京に隠された秘密
国会議事堂の空いた台座、幻の地下鉄ホーム。
読む →幕末・江戸から東京へ
江戸は、戦わずに明け渡された。
読む →文明開化と帝都
ガス灯、煉瓦街、十二階。銀座は西洋の見本市だった。
読む →鉄道と地下鉄の東京
世界一混む駅と、山手線の本当の名前。
読む →関東大震災と東京大空襲
東京は20年ほどのあいだに、二度焼け野原になった。
読む →焼け跡からオリンピックへ
1964年、東京は19年で世界の舞台に立った。
読む →浅草・下町と隅田川
網にかかった観音像から始まった町。
読む →上野 ― 寛永寺と西郷さん
上野公園は、江戸の鬼門を守るお寺の境内だった。
読む →山の手と大名屋敷
東京大学の赤門は、加賀藩のお姫様のための門だった。
読む →新宿 ― 宿場町から副都心へ
超高層ビル街は、巨大な浄水場の跡地だった。
読む →渋谷 ― 谷の底の街
渋谷は、名前のとおり谷の底にある。
読む →秋葉原 ― 電気街からオタクの聖地へ
火除けの原っぱが、世界のアキハバラになった。
読む →多摩と武蔵野
多摩は、東京の水を守るために神奈川県から移ってきた。
読む →伊豆諸島と小笠原
東京から船で24時間。そこも東京都。
読む →寺社と東京の神々
明治神宮の森は、100年かけて人がつくった。
読む →祭りと年中行事
江戸っ子は、季節を祭りと市で知った。
読む →桜と花見の東京
ソメイヨシノは、東京の植木屋の村で生まれた。
読む →江戸前の味
寿司も天ぷらもそばも、江戸のファストフードだった。
読む →江戸の粋と芸能
北斎、歌舞伎、落語。江戸は庶民の文化の都だった。
読む →都市伝説と怪談
将門の首塚、江戸の鬼門、お岩さんの本当の姿。
読む →外国人に人気の意外なスポット
なぜ、あの交差点に世界中の人が集まるのか。
読む →歩いて読む東京
地下鉄と路面電車と船で、物語の現場へ。
読む →関連書籍
江戸の暮らしから、焼け跡の東京まで。
読む →PHOTOS
写真で見る東京
LOCAL COMMON SENSE
東京の人には「常識」
外から来るとちょっと驚く、けれど地元ではあたりまえのこと。
- エスカレーターは左に立つ東京では、エスカレーターの左側に立ち、右側を空けるのが長年の習慣です。大阪とは逆。ただし最近は、安全のため「歩かずに2列で」と呼びかけられています。
- 「山手線」は「やまのてせん」かつては「やまてせん」と呼ばれた時期もありましたが、1971年ごろから「やまのてせん」に統一されました。
- 下町と山の手東側の低地が「下町」、西側の台地が「山の手」。地形の違いが、街の雰囲気や言葉の違いにもつながってきました。
- 「〜区民」より「〜線沿線」住む場所を説明するとき、区の名前より「中央線沿線」「東横線沿線」など、使う鉄道の路線で話すことがよくあります。
- 東京生まれは少数派?東京には全国から人が集まります。親の代から東京に住む人は、実は多くありません。
- 島も東京伊豆諸島や小笠原の車のナンバープレートは「品川」。1,000キロ離れた島も、れっきとした東京都です。
TIMELINE
年表でたどる東京
浅草寺の始まり
隅田川で漁師の網にかかった観音像をまつったのが始まりと伝えられます。
太田道灌が江戸城を築く
入江を見下ろす台地の上に、最初の江戸城が築かれます。
徳川家康の江戸入り
豊臣秀吉の命で関東に移った家康が、江戸を本拠にします。
江戸幕府と日本橋
家康が征夷大将軍となり、日本橋が架けられます。
明暦の大火
江戸の大半が焼け、江戸城の天守も失われます。
江戸から東京へ
江戸城が無血で明け渡され、7月に江戸は「東京」と改められます。
鉄道開業
新橋〜横浜間に日本初の鉄道が走ります。
関東大震災
9月1日、大地震と大火で10万人を超える人が亡くなりました。
東京大空襲
3月10日の空襲で、一夜のうちに約10万人が亡くなりました。
東京オリンピック
首都高速や東海道新幹線が整い、東京は世界の舞台に立ちます。
小笠原諸島の返還
アメリカの統治下にあった小笠原諸島が日本に返還されます。
東京スカイツリー開業
高さ634メートル、「むさし」の語呂合わせの電波塔が完成します。
二度目の東京オリンピック
1年の延期を経て、2020年大会が開かれました。
ラベルの意味:史実記録で裏づけ 有力説多くの研究・資料が支持 伝承言い伝え 都市伝説噂・地元の語りぐさ




