トップ / 大神神社と三輪山

大神神社と三輪山

桜井市の大神神社(おおみわじんじゃ)には、神さまを祀る本殿がありません。参拝者は拝殿の奥の三ツ鳥居を通して、その向こうにそびえる三輪山そのものを拝みます。山が神である――建物ができる前の、古い祈りのかたちが今も残る神社です。

ラベルの意味:史実記録で裏づけ 有力説多くの研究・資料が支持 伝承言い伝え 都市伝説噂・地元の語りぐさ

本殿がない理由

史実大神神社は、三輪山(標高467m)そのものをご神体とし、山に鎮まる神・大物主大神(おおものぬしのおおかみ)を祀ります。神社に本殿を建てて神を祀る形が広まる前の、山や岩、森を神の宿る場所として拝む古い信仰の形を伝えていることから、「日本最古の神社の一つ」と言われます。

史実拝殿(重要文化財)は1664年に徳川家綱が再建したもの。その奥には、三つの鳥居を一つに組み合わせた独特の「三ツ鳥居」(重要文化財)があり、ここが神域との境になっています。

467m三輪山の標高
約32m大鳥居の高さ(1986年建立)
11月14日酒まつり(醸造安全祈願祭)

山に入るための、きびしいきまり

史実三輪山は長く入山が禁じられた「禁足地」でしたが、今は摂社の狭井(さい)神社で受付をすれば、決められた時間内に登ることができます(登拝)。ただし山はあくまでご神体。山中での写真撮影、飲食(水分補給を除く)、草木や石を持ち帰ることは禁止されています。参拝者は白いたすきをかけ、山頂の奥津磐座まで往復2〜3時間をかけて登ります。

史実山中や周辺からは、古墳時代の祭祀に使われた勾玉や土器などが多く見つかっていて、古くから祭りが行われていたことがわかっています。

蛇の神と、卵の供え物

伝承『日本書紀』には、大物主神が美しい男の姿で夜ごと姫のもとに通い、正体は小さな蛇だったという話があります(箸墓の部屋)。神は蛇の姿で現れるとされ、拝殿の前の大杉は「巳(み)の神杉」と呼ばれ、蛇が住むと言われます。参拝者は蛇の好物とされる卵やお酒を供えます。

大神神社の拝殿
大神神社の拝殿桜井市三輪
大神神社の杉玉
大神神社の杉玉桜井市三輪

酒屋の「杉玉」はここから

伝承『日本書紀』の崇神天皇の時代、高橋活日命(たかはしいくひのみこと)が大物主神に捧げる酒を一夜で醸したと伝わり、大神神社は酒造りの神としても信仰されてきました。

有力説全国の酒蔵の軒先に吊るされる杉の葉の玉「杉玉(酒林)」は、三輪山の杉を神の宿る木として飾った習わしが広まったものとされます。毎年11月14日の「酒まつり」(醸造安全祈願祭)の前日に拝殿の大杉玉が新しく掛け替えられ、酒まつりでは全国の酒造家に「しるしの杉玉」が授けられます。新酒ができたことを知らせる合図として、杉玉が青いうちに軒先に吊るされるのです(奈良発祥の部屋)。

三輪そうめんの故郷

伝承三輪は、手延べそうめん発祥の地とされます。大物主神の子孫とされる人物が、飢饉に苦しむ人々を救うために小麦を育て、その粉で糸状の麺を作らせたのが始まりと伝わります。毎年2月5日には大神神社で「卜定祭(ぼくじょうさい)」が行われ、その年のそうめんの初値を占います(食の部屋)。

ここを見る:大鳥居と山の辺の道

参道の入口に立つ大鳥居は高さ約32m。1986年に昭和天皇の在位60年を記念して建てられた、日本最大級の鳥居です。大神神社は「山の辺の道」の中ほどにあり、北へ歩けば石上神宮へ、南へ歩けば海柘榴市(つばいち)の跡へと続きます(山の辺の道の部屋)。

主な参考資料:大神神社公式サイト/『古事記』『日本書紀』崇神紀/桜井市観光協会/奈良県三輪素麺工業協同組合

広告