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10 — KAMIOKA
神岡 ― 鉱山と宇宙
飛騨市の北部、神岡の山の地下には、長い坑道が網の目のように広がっています。かつて亜鉛や鉛を掘り出した鉱山。その地下1000メートルの闇の中で、宇宙から届く目に見えない粒子を捉える装置が、2度のノーベル物理学賞をもたらしました。
ラベルの意味:史実記録で裏づけ 有力説多くの研究・資料が支持 伝承言い伝え 都市伝説噂・地元の語りぐさ
東洋一の鉱山
伝承神岡鉱山は、奈良時代の養老年間に金を産出したという言い伝えを持つ、古い鉱山です。
史実江戸時代には天領の鉱山として銀や鉛を産し、明治に入ると三井が経営に乗り出しました。近代的な設備が整えられ、神岡鉱山は亜鉛と鉛を中心とする東洋有数の鉱山へと成長します。鉱山で働く人々とその家族で、山あいの神岡の町はにぎわいました。2001年、鉱石の採掘は終わりました。
イタイイタイ病
史実鉱山の繁栄の陰で、深刻な被害も起きていました。鉱山から流れ出たカドミウムが神通川を下り、富山県の流域の田畑と人々の体をむしばんだのです。骨がもろくなり、激しい痛みに苦しむこの病気は「イタイイタイ病」と呼ばれ、1968年、国が認めた最初の公害病となりました。その後、発生源対策が進められ、流域の土壌の復元も行われています。
カミオカンデ ― 地下で宇宙を見る
史実1983年、東京大学は神岡鉱山の地下1000メートルに、大量の水をたたえたタンクと光のセンサーを備えた観測装置「カミオカンデ」をつくりました。深い地下を選んだのは、地上に降り注ぐ宇宙線などの邪魔ものを、厚い岩盤でさえぎるためです。もともとの目的は、陽子が崩壊する現象を捉えることでした。
史実1987年2月23日、カミオカンデは、大マゼラン雲で起きた超新星爆発から届いたニュートリノを、世界で初めて捉えます。約16万光年のかなたから、地球を突き抜けてきた粒子でした。この成果により、2002年、小柴昌俊がノーベル物理学賞を受賞しました。
史実1996年には、約5万トンの純水をたたえた後継の「スーパーカミオカンデ」が観測を始めます。1998年、ここでの観測からニュートリノに質量があることを示す「ニュートリノ振動」が発見され、2015年に梶田隆章がノーベル物理学賞を受賞しました。現在は、さらに大きな「ハイパーカミオカンデ」の建設が進められています。
ここを見る:ひだ宇宙科学館 カミオカラボ
観測施設の中は一般には公開されていませんが、神岡の町なかにあるひだ宇宙科学館 カミオカラボでは、スーパーカミオカンデの内部を実物大の映像で体感でき、光のセンサーも展示されています。廃線になった神岡鉄道の線路では、自転車型の車両で線路の上を走る「レールマウンテンバイク」も楽しめます。


主な参考資料:東京大学宇宙線研究所 神岡宇宙素粒子研究施設/飛騨市「ひだ宇宙科学館カミオカラボ」/環境省「イタイイタイ病」/富山県立イタイイタイ病資料館