
HIDA-TAKAYAMA
匠と山と
祭りの国。
1300年前、この山国は税の代わりに大工を都へ送りました。「飛騨の匠」の技は、城下町の町家に、祭りの屋台に、合掌造りの村に受け継がれていきます。 江戸幕府の役所がそのまま残る陣屋、ダムの底から救われた桜、鉱山の地下で宇宙を見る装置。観光ガイドには載らない飛騨の「なぜ」を、史実と伝承の境目を示しながらたどります。
FOUR KEYS
飛騨を読み解く、四つの鍵
この土地の出来事は、ほとんどがこの四つのどれかにつながっています。
木と匠
土地の9割以上が森林の飛騨は、昔から木の国でした。奈良時代には都の建設に大工を送り、その技は町家や祭り屋台、家具づくりへと受け継がれています。
天領の町
1692年から明治維新まで、飛騨は江戸幕府が直接治める「天領」でした。大名も武士も少ない町で、豊かになった商人たちが祭りや文化を支えました。
山と雪
東に3000メートル級の北アルプス、冬は深い雪。険しい峠が外の世界との行き来をはばみ、独自の暮らしと、急な屋根の合掌造りを生みました。
祭りと信仰
高山祭、古川祭、白川郷のどぶろく祭。円空の仏や、英雄として語られる両面宿儺。飛騨の人々は、祭りと信仰で長い冬と山の暮らしを支えてきました。
WHY HERE?
なぜ、この山あいだったのか
飛騨は、四方を山に囲まれた高原の国です。北へ流れる宮川は富山の日本海へ、南へ流れる飛騨川は太平洋側の濃尾平野へ。高山の町は、その二つの川の水系の分かれ目近くの盆地に開かれました。
米が十分にとれない山国だからこそ、木を扱う技が磨かれ、都へ匠を送りました。江戸時代には木材や鉱山の資源を求めて幕府が直接治め、山と峠に閉ざされた町では、独自の文化が濃く育っていきます。2005年の合併で、高山市は東京都とほぼ同じ広さの、日本一広い市になりました。
BUTTERFLY EFFECT
小さな出来事が、今の飛騨をつくった
一つの出来事が思わぬところへ波及していく。飛騨には、そんな「バタフライエフェクト」がいくつもあります。
20 ROOMS
20の部屋から、飛騨へ
気になるところから読めます。上から順に読むと、都をつくった匠から、城下町と天領の町、祭りと合掌造りの村、峠と鉱山、世界から人が訪れる今の飛騨までが、一本の物語としてつながります。
飛騨の匠
税の代わりに、都をつくった人々。
読む →金森長近と高山城
茶人の武将が、山あいに京をつくった。
読む →古い町並と酒蔵
格子の奥に、商人の町の工夫がある。
読む →高山陣屋と天領
全国でただ一つ残る、江戸幕府の役所。
読む →高山祭と屋台
動く陽明門と呼ばれた、23台の屋台。
読む →円空と両面宿儺
鉈で彫った仏と、二つの顔を持つ英雄。
読む →白川郷と合掌造り
雪と火薬と蚕が、この家の形を決めた。
読む →荘川桜と御母衣ダム
ダムの底に沈む村から、桜を救え。
読む →飛騨古川
白壁の土蔵と、鯉の泳ぐ瀬戸川。
読む →下呂温泉
白鷺が教えた、天下の名湯。
読む →神岡 ― 鉱山と宇宙
地下1000メートルで、宇宙を見る。
読む →野麦峠と工女たち
「ああ、飛騨が見える」。
読む →奥飛騨と北アルプス
3000メートルの峰々と、湯けむりの里。
読む →飛騨牛・朴葉味噌・高山ラーメン
葉っぱの上で、味噌を焼く。
読む →一位一刀彫・春慶塗・飛騨の家具
木目を見せる漆、木の色を生かす彫刻。
読む →さるぼぼと飛騨の暮らし
顔のない赤い人形は、猿の赤ちゃん。
読む →世界が見つけた飛騨
人口の10倍以上の外国人が泊まる町。
読む →伝説と都市伝説
地震で消えた城に、黄金が眠る?
読む →歩いて読む飛騨
陣屋から合掌造りまで。
読む →関連書籍
『あゝ野麦峠』から円空の本まで。
読む →PHOTOS
写真で見る飛騨
LOCAL COMMON SENSE
飛騨の人には「常識」
外から来るとちょっと驚く、けれど地元ではあたりまえのこと。
- ラーメンではなく「中華そば」観光客が「高山ラーメン」と呼ぶものを、地元の多くの人は「中華そば」と呼びます(食の部屋)。
- 朴葉味噌は家庭の味朴の葉の上で味噌を焼く朴葉味噌は、旅館のごちそうである前に、冬の家庭の食卓の味です。
- 祭りは「屋台組」で動く高山祭の屋台は、町内ごとの「屋台組」が守り、曳き、修理してきました。屋台は町の誇りです(祭りの部屋)。
- 市内の移動に2時間高山市は日本一広い市。市の端から端まで、車で2時間近くかかることもあります。
- さるぼぼはお守り赤い「さるぼぼ」は、みやげ物である前に、子どもや家族の無事を願うお守りです(暮らしの部屋)。
- 冬は氷点下が当たり前高山の冬は冷え込みが厳しく、朝は氷点下10度を下回ることもあります。水道管の凍結対策は冬支度の基本です。
TIMELINE
年表でたどる飛騨
飛騨の匠
飛騨国は税の代わりに、里ごとに大工を都へ送る制度が定められます。
金森長近の飛騨入り
豊臣秀吉の命で飛騨を平定した長近が、高山城と城下町を築きます。
天正地震
大地震で帰雲山が崩れ、白川郷の帰雲城と城下が埋まりました。
天領になる
金森氏が出羽へ移され、飛騨は幕府の直轄地になります。
大原騒動
年貢や検地をめぐり、飛騨の農民たちが繰り返し立ち上がります。
岐阜県へ
高山県、筑摩県を経て、飛騨は岐阜県の一部になります。
野麦峠の悲劇
製糸工場で病に倒れた政井みねが、兄に背負われた帰り道、峠で亡くなります。
高山本線の全通
岐阜と富山を結ぶ鉄道が全線開通し、飛騨は外の世界と結ばれます。
荘川桜の移植
ダムに沈む村から、2本の老桜が湖畔へ移されました。
古い町並が重伝建に
高山の三町が、国の重要伝統的建造物群保存地区に選ばれます。
白川郷が世界遺産に
五箇山とともに「白川郷・五箇山の合掌造り集落」が登録されました。
日本一広い市
高山市が周辺の町村と合併し、面積日本一の市になります。
ユネスコ無形文化遺産
高山祭と古川祭の屋台行事が、「山・鉾・屋台行事」として登録されました。
ラベルの意味:史実記録で裏づけ 有力説多くの研究・資料が支持 伝承言い伝え 都市伝説噂・地元の語りぐさ




