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10 — LEGENDS

シーサーと島の伝承

屋根の上で町を見張る獅子、突き当たりの壁に埋め込まれた石、ガジュマルの木に棲む赤毛の精。沖縄の暮らしには、目に見えないものから身を守るための知恵があちこちに残っています。史実と伝承の境目を示しながら紹介します。

ラベルの意味:史実記録で裏づけ 有力説多くの研究・資料が支持 伝承言い伝え 都市伝説噂・地元の語りぐさ

シーサー ― 火を返す獅子

史実沖縄の魔よけの獅子シーサーのうち、村を守るものとして現存する最古のものの一つが、八重瀬町富盛(ともり)の石彫大獅子です。王府の歴史書『球陽』によると、この村では火事が相次いだため、1689年、風水師の助言によって、火の山とされた八重瀬岳に向けて獅子が置かれました。火の災いを「返す」ためです。

史実この大獅子には、沖縄戦のときの弾の跡が今も残っています。戦場となった村で、獅子も傷を負いながら立ち続けたのです。

有力説今のように家々の屋根にシーサーをのせる風習は、明治になって庶民も赤瓦の屋根を使えるようになってから広まった、といわれます。瓦職人が余った瓦としっくいで獅子をつくり、屋根にのせたのが始まりとも伝えられます。

都市伝説

「口を開けたほうがオス」

門の両側に置かれる一対のシーサーは、口を開けたほうがオスで福を招き、閉じたほうがメスで福を逃さない――と説明されることが多い。

史実

決まりはなく、地域でも違う

口を開けた「阿」と閉じた「吽」の組み合わせは、神社の狛犬と同じ考え方。どちらがオスかは地域や作り手によって説明が逆になることもあり、決まった答えはない。

石敢當 ― まっすぐしか進めない魔物

史実沖縄の町を歩くと、T字路の突き当たりの壁に「石敢當(いしがんとう)」と刻まれた石をよく見かけます。中国から伝わった魔よけで、台湾や福建、鹿児島などにも見られます。

伝承沖縄では、悪い霊(マジムン)はまっすぐにしか進めないと言い伝えられています。突き当たりにぶつかったマジムンが家に入らないよう、石敢當が跳ね返してくれるのです。家の門と母屋の間に立てる目隠しの塀「ヒンプン」も、同じようにマジムンがまっすぐ入ってこないためのものといわれます。

キジムナーとマブイ

伝承古いガジュマルの木には、キジムナーという精霊が棲んでいると言い伝えられています。赤い髪をした子どものような姿で、魚の目玉が大好物。いたずら好きですが、仲良くなると漁を手伝ってくれるともいわれます。タコやニワトリが苦手で、木を傷つけられるのをひどく嫌うそうです。

伝承沖縄では、人の魂をマブイと呼びます。ひどく驚いたり転んだりすると、マブイが体から落ちてしまうことがある、と考えられてきました。そのときは、落とした場所で「マブヤー、マブヤー、ウーティクーヨー(魂よ、戻っておいで)」と唱えて呼び戻す「マブイグミ(魂込め)」を行います。今も、子どもが転んだときなどに行う家庭があります。

ここを見る:料理の上の「サン」

ススキなどの葉を結んだ「サン」は、魔よけのお守りです。お供えものや、人に届ける料理の上に添えたりします。見かけたら、それは「途中で悪いものが入りませんように」という願いです。

ハブとマングース

都市伝説

「マングースがハブを退治してくれる」

ハブとマングースの対決は、かつて観光施設の名物ショーだった。そのイメージから、マングースはハブの天敵だと思われてきた。

史実

実際は、ほとんど出会わなかった

1910年、ハブ退治を期待してマングースが本島に放された。しかしマングースは昼に、ハブは主に夜に活動するため、両者はほとんど出会わない。マングースはヤンバルクイナなどの在来の生き物を襲うようになり、今は駆除の対象になっている。

富盛の石彫大獅子
富盛の石彫大獅子八重瀬町
石敢當
石敢當県内各地
赤瓦の屋根の上のシーサー
屋根のシーサー県内各地
大きなガジュマルの木
ガジュマル県内各地

主な参考資料:八重瀬町「富盛の石彫大獅子」/『球陽』/沖縄県環境部「マングース対策」/沖縄県立博物館・美術館

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