中城城跡の石垣
中城城跡の石垣

OKINAWA

海でつながる、
万国津梁の島。

かつてここには、日本とも中国とも違うひとつの王国がありました。船を「万国の架け橋」とし、アジアの港を結んだ琉球王国です。 やがて王国は沖縄県になり、地上戦の島になり、アメリカの統治を経て日本に戻りました。観光ガイドには載らない沖縄の「なぜ」を、史実と伝承の境目を示しながらたどります。

FOUR KEYS

沖縄を読み解く、四つの鍵

この島々の出来事は、ほとんどがこの四つのどれかにつながっています。

KEY 01

サンゴ礁の島々

大小160ほどの島が、東西約1,000キロの海に散らばっています。石灰岩の大地、浅く青いイノー(礁池)、台風。暮らしも祈りも、この自然の上に成り立ってきました。

KEY 02

海の交易国家

資源の少ない小さな王国は、中国への進貢を軸に、日本・朝鮮・東南アジアの品物を運ぶ中継貿易で栄えました。首里城の建物の赤や、三線、泡盛にも、その交流が刻まれています。

KEY 03

何度も変わった「世」

王国の時代、薩摩に従った時代、沖縄県の時代、アメリカ世(ユー)、そして本土復帰。沖縄では時代の移り変わりを「世替わり(ゆがわり)」と呼びます。支配する側が変わるたびに、人々の暮らしも変わりました。

KEY 04

祈りと慰霊

森や岩を拝む御嶽の祈り、祖先を大切にする暮らし。そして1945年、住民を巻き込んだ地上戦で多くの命が失われました。毎年6月23日、島は静かな祈りに包まれます。

WHY HERE?

なぜ、この島々だったのか

地図を少し引いて見ると、沖縄の位置がよく分かります。那覇から鹿児島までは約650キロ、福建省の福州までは約800キロ。そして与那国島から台湾までは、わずか約111キロです。

沖縄は、日本・中国・東南アジアをつなぐ海の十字路の真ん中にありました。季節風と黒潮に乗れば、船はどこへでも向かえます。資源の少ない島々が王国として栄えたのも、のちに大国の思惑に翻弄されたのも、この位置があったからでした。

万国津梁の大交易時代へ →

九州 沖縄本島 宮古 八重山 与那国 台湾 中国(福建) 東南アジアへ 約111km

BUTTERFLY EFFECT

小さな出来事が、島の今をつくった

一つの出来事が思わぬところへ波及していく。沖縄には、そんな「バタフライエフェクト」がいくつもあります。

1605中国から持ち帰った苗進貢船の役人・野國總管(のぐにそうかん)が、福建からサツマイモを持ち帰る。
17世紀琉球中に広がる儀間真常(ぎましんじょう)が栽培を広め、やせた土地や台風に強い芋が島の食を支える。
1705薩摩へ琉球から持ち帰られた芋が薩摩で広まり、「さつまいも」と呼ばれるようになる。
18世紀飢饉を救う作物にやがて全国で栽培され、日本各地の飢饉から人々を救った。
1871宮古の船が台湾に漂着首里へ年貢を納めた帰りの船が遭難。上陸した66人のうち54人が殺害される。
1874台湾出兵明治政府は「日本国民が殺された」として台湾に出兵する。
決着清が賠償金清は日本の行動を「民を守るための義挙」と認める文書に調印する。
1879琉球処分琉球の人々を「日本国民」とした論理も背景に、王国は沖縄県となった。
戦後基地の町・金武キャンプ・ハンセンのゲート前に、米兵向けの店が並ぶ。
1984安くて腹いっぱいに食堂の店主が、タコスの具をご飯にのせて出してみる。
広まるタコライス米兵だけでなく地元の人にも広がり、県内の定番料理に。
いま給食にも登場沖縄の学校給食の人気メニューとなり、全国でも知られるようになった。

13 ROOMS

13の部屋から、沖縄へ

気になるところから読めます。上から順に読むと、グスクの時代から王国、沖縄県、沖縄戦、アメリカ世、本土復帰までが一本の物語としてつながります。

LOCAL COMMON SENSE

沖縄の人には「常識」

外から来るとちょっと驚く、けれど地元ではあたりまえのこと。

  • 行事は旧暦で動く旧正月、旧盆、清明祭(シーミー)。沖縄の年中行事の多くは旧暦に合わせて行われるので、日付が毎年変わります。カレンダーに旧暦が載っているのもふつうです。
  • お墓の前でピクニック4月ごろの清明祭では、親族が大きな亀甲墓(かめこうばか)の前に集まり、ごちそうを広げて祖先と一緒にいただきます。
  • 6月23日は「慰霊の日」沖縄戦の組織的戦闘が終わった日とされ、県の条例で定められた休日です。正午には県内各地で黙とうがささげられます。
  • 鉄道はモノレールだけ戦前には県営鉄道がありましたが、沖縄戦で失われました。今の鉄道は2003年開業の沖縄都市モノレール(ゆいレール)だけで、移動の中心は車とバスです。
  • 「模合(もあい)」仲間でお金を出し合い、順番に受け取る昔からの仕組み。今では飲み会を兼ねた集まりとして続いていることも多く、いくつも掛け持ちする人もいます。
  • 「そば」といえば沖縄そばそば粉を使わない小麦粉の麺ですが、沖縄で「そば」といえばこちら。10月17日は「沖縄そばの日」です。

TIMELINE

年表でたどる沖縄

約2万年前

港川人

本島南部の八重瀬町で見つかった人骨。日本でもっとも保存状態のよい旧石器時代の人骨の一つです。

12世紀ごろ

グスク時代

農耕が広がり、按司と呼ばれる有力者が各地にグスクを築きます。

1372

明への入貢

中山王・察度が明に使者を送り、中国との進貢関係が始まります。

1429

三山統一

尚巴志が北山・中山・南山をまとめ、琉球王国が成立します。

1458

万国津梁の鐘

「船をもって万国の架け橋となす」と刻まれた鐘が、首里城正殿に掛けられます。

1609

薩摩侵攻

薩摩の島津氏が琉球に攻め込み、王国は中国と日本の双方に従う「両属」の時代へ。

1853

ペリー来航

浦賀へ向かう前に那覇に寄港し、首里城を訪れます。

1879

沖縄県の設置

「琉球処分」により王国がなくなり、国王・尚泰は東京へ移されます。

1945

沖縄戦

3月26日に米軍が慶良間諸島に上陸。6月23日に組織的戦闘が終わるまでに、20万人を超える人が亡くなりました。

1972

本土復帰

5月15日、27年に及んだアメリカの統治が終わり、沖縄県が再び誕生します。

1978

730(ナナサンマル)

7月30日、車の通行が右側から左側へ一斉に切り替わります。

2000

世界遺産登録

「琉球王国のグスク及び関連遺産群」が登録。守礼門を描いた二千円札も発行されました。

2019〜

首里城の焼失と再建

10月31日の火災で正殿など7棟が焼失。正殿は再建が進み、2026年11月23日から一般公開の予定と発表されています。

ラベルの意味:史実記録で裏づけ 有力説多くの研究・資料が支持 伝承言い伝え 都市伝説噂・地元の語りぐさ

広告