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07 — 地元民には、当たり前

「なまらこわい」は、
怖くない。

札幌の人が「なまらこわい」と言ったら、それは「とても疲れた」という意味です。明治以降、全国から人が集まってできた札幌には、東北や北陸の言葉が溶け合った独特の言葉と、雪国ならではの暮らしの工夫があります。地元の人は気にも留めない、けれど知ると面白い「札幌の当たり前」を集めました。

雪の中の平らな屋根の家と玄関フードのイラスト

言葉

札幌で耳にする、北海道の言葉

北海道の言葉は、開拓期に移り住んだ東北・北陸などの人々の言葉が混ざり合って生まれたといわれます。札幌は比較的「標準語に近い」とされますが、それでも日常にはこんな言葉が溶け込んでいます。

言葉意味使い方・ひとこと
なまらとても「なまらうまい」。若い世代では「なんまら」とも
したっけそうしたら/じゃあね別れ際の「したっけね〜」は札幌の日常
こわい疲れた、だるい「今日なまらこわい」=今日はとても疲れた
投げる捨てる「そのゴミ投げといて」。本当に放り投げてはいけない
はく(手袋を)手袋をはめる足ではなく手に「はく」
押ささる(意図せず)押されてしまう「ボタン押ささった」=自分のせいではなく、押されてしまった、というニュアンス
ばくる交換する「おかず、ばくりっこしよう」
いずいしっくりこない、違和感がある目にゴミが入った感じ、服のタグが当たる感じ
あずましくない落ち着かない、居心地が悪いぴったり言い換えられる標準語がないと言われる言葉
しばれるひどく冷え込むただ「寒い」のではなく、凍りつくような寒さ
なんもなんもどういたしまして、気にしないでお礼を言われたときの返し
内地本州のこと年配の人ほどよく使う。「内地から来た人」
雪はね雪かき札幌では「雪かき」より「雪はね」

家

札幌の家には、三角屋根が少ない

平らな無落雪屋根、玄関フード、灯油タンクのある札幌の家のイラスト

雪国の家といえば、雪を落とす急な三角屋根を思い浮かべるかもしれません。けれど札幌の住宅街を歩くと、平らな屋根や、中央に向かってわずかにくぼんだ屋根の家が目立ちます。これは「無落雪屋根」。屋根から雪を落とさず、屋根の上で溶かしたり、中央の排水口(スノーダクト)から水として流したりする仕組みです。

家と家の間が狭い札幌の住宅地では、屋根から落ちた雪が隣家や道路をふさいでしまいます。落雪事故も防げる。都市の雪国ならではの答えでした。

玄関フード

玄関の外側にもう一つ設けたガラスの小部屋。風と雪を防ぎ、暖気を逃がさない。

灯油タンク

家の外に置かれた大きな灯油タンク。タンクローリーが定期的に給油に回ってくる。

冬の室内は半袖

家の中は暖かく、冬でもTシャツで過ごす人が多い。「本州の冬の家のほうが寒い」は道民の定番の感想。

しきたり

冠婚葬祭も、ちょっと違う

北海道では、結婚式が「会費制」で行われることが多く、ご祝儀の代わりに決まった額の会費を受付で払います。友人たちが「発起人」となって会を運営するスタイルは、開拓期の相互扶助の名残ともいわれます。

お葬式では、香典に対して領収書が出されることもあり、道外から来た人は驚くことがあります。また大晦日は、年越しのごちそうを家族で囲み、おせち料理を大晦日から食べ始める家庭も少なくありません。

地元の常識

学校の休みも本州とは違います。夏休みが短く、冬休みが長いのが一般的。お盆を過ぎると2学期が始まり、代わりに雪の季節にたっぷり休みがあります。

季節のことば

リラ冷え、蝦夷梅雨、雪虫

札幌市の木ライラックのイラスト

札幌市の木はライラック(フランス語でリラ)。5月下旬、ライラックが咲くころに訪れる肌寒い日を、札幌の人は「リラ冷え」と呼びます。この言葉は、北海道の俳人・榛谷美枝子の句から生まれ、作家・渡辺淳一の小説『リラ冷えの街』で広く知られるようになりました。

北海道には梅雨がない、とよくいわれますが、6月ごろにぐずついた天気が続くことがあり、「蝦夷梅雨」と呼ばれます。 6月14〜16日の北海道神宮例大祭、通称「札幌まつり」のころは天気が崩れやすい——というのは、札幌の人のあいだで語り継がれる経験則です。

言い伝え

雪虫が飛ぶと、初雪が近い

晩秋、白い綿毛をまとった小さな虫がふわふわと飛び始めます。正体はアブラムシの仲間(トドノネオオワタムシ)。札幌の人は「雪虫が飛んだら、そろそろ初雪」と言います。気温が下がる時期に一斉に飛ぶため、あながち迷信とも言い切れません。ただし、服につくとつぶれて汚れるので要注意。

綿毛をまとった雪虫が舞うイラスト

街の歩き方

地元の人の「待ち合わせ語」

「4丁目」

南1条西4丁目の交差点のこと。デパートが並ぶ、札幌の昔からの待ち合わせ場所。

「さつえき」

札幌駅の略。「駅前通」は札幌駅から南へまっすぐ延びる大通り。

「ニッカの看板」

すすきの交差点のビルに掲げられたウイスキーの巨大看板。すすきのの“顔”として地元の目印になっている。

「テレビ塔の下」

大通の東端。電光時計の数字を見上げて待つ。

冬の待ち合わせは、屋外ではなく地下街やチ・カ・ホの「○番出口付近」が定番。札幌の人は、地上よりも地下の地図のほうが頭に入っているかもしれません。

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